バーベキューの醍醐味といえば香ばしい牛肉の風味と味わいにあります。牛肉といっても各部位によって脂身の配合がことなり旨みや風合いも異なっています。肉の旨みはたんぱく質に含まれるアミノ酸の配合や度合いの違いや、サシの配合によって大きく違いがあります。せっかくのバーベキューの機会なのでよりおいしく頂きたいものです。とはいっても屋外で直火という特殊な環境のなかで、どの部位をチョイスすればよりおいしく味わうことが出来るのか案外難しい側面があります。ヒレやサーロイン・タンやカルビなど馴染み深い部位もあれば、普段の食卓ではあまり目にする機会のない部位の肉も選択肢にあがります。そこでバーベキューにおすすめの部位と食べ方を、色々な観点から御紹介してまいります。
牛肉の味・香り

みんな大好きな牛肉の味や香りの秘密はどこにあるのでしょうか。焼き上げたときの独特の香りや、口にしたときの風味は豚や鶏肉などとはことなる独自のものがあります。たまに無性に肉が食べたくなるときは、焼肉などを食べる機会もあるでしょう。そのような郷愁を抱かせるのは牛肉には、とりわけ国産牛においては甘くて独特の脂っぽいニオイを感じることがあるのは理解できると思います。豚や鶏肉では経験することはない香りのことを、「和牛香」と呼ばれていますが、その美味しさは味と香り、そして食感からなっている訳です。本来はこれらの感覚は、味覚や触覚に嗅覚などそれぞれ異なる感覚器官を検知しているのでそれぞれが別の事象のはずです。しかし通常は味と香りと食感の3点セットが揃っているものを食して「美味しい」と言う表現に帰結します。つまりどれか一つの要素だけが優れているからといって、それが単純に美味しいことにはならないことは興味を引くところです。例えば肉の白いサシの部分の入り具合をはかる指標に、BMSというものがあります。BMSとは霜降り度合いを示す数字で、この数字が高くなればなるほどサシが入っており、赤身と白身がきれいに羅列した独自の美しさを持った外見を呈するわけです。脂肪分が加熱されるときに甘い香りが空気中に広がります、そのため嗅覚的に満足できるものであれば、BMSの高さが重要な指標になります。
ところで牛肉の味わいはたんぱく質成分のアミノ酸の部分と、脂肪分のもつ甘みからなっています。アミノ酸は舌で旨みとして認識されることになるので、赤身の多い肉が旨みをつよく感じることができるはずです。味の評価で見れば香りのもとになるBMSが低いほうがベターと言うことになるでしょう。しかし実際には味わいだけが濃厚でも、脂肪の甘みばかりが濃厚でも美味しいと認識されることはありません。となるとバランスをどのあたりに求めるかの問題になっているということができます。赤身ばかりでは繊維質が硬い食感として違和感の原因になってしまうので、ある程度のサシが必要になってくるのは明らかです。だからと言ってサシばかりが目立つほどBMSが高い肉になってくると少量でも食べることが出来れば、それで満足と言うことも良くあります。食感についてもどれほどの加味応えを要求するのかの問題があります。日本では軟らかい肉質が好まれる傾向があるので、そのニーズに応じて和牛などの高級黒毛和牛などはランク付けがなされています。サシが多く脂肪が満遍なくふくまれているものが高く評価されるので、店頭でも高額の値段がついているのは概ね食感の軟らかさと、正の比例関係にあります。つまり日本国内では脂肪が多く食管がソフトで口の中で解けてしまうようなものが珍重されているわけです。しかしこの食感についても個人の好みが色濃く反映されることになり、なかには赤身肉の食べ応えを好む人も少なくありません。脂肪分が多く焼いたときの甘いかおりを好む傾向が日本では強いといえるわけで、進物などの場面では特に珍重されるといえます。高級な精肉店などで最高ランクされるような牛肉では、見事な霜降りのものに高い値段がついています。生産者にとっても霜降り肉のほうが高い値段がつくので、A5ランクの肥育基準に近づけた個体の生産を重視しているのは明らかです。とは言っても実際の購買ニーズでみれば、赤身と脂肪の配合が個人の嗜好に応じてバランスのとれた部分が普段の食生活では好まれる傾向があります。
またバーベキューの調理では霜降り肉などでは、直火で加熱すると脂肪がすぐに溶けてしまって、美味しく食べることができるのか疑問もあります。屋外で牛肉を堪能したいなら、ダイナミックな食べ応えなども重要な要素になります。かぶりついたときの食感や満足感をえるためには、別の視点でそざい選びを実践することは重要です。食べ応えと旨みに商店を当てるとここ数年、話題を集めているのが熟成肉になります。熟成に肉とは特別の条件のもとで管理し、時間をかけて旨み成分のアミノ酸を多く含むように加工した肉のことです。通常の牛肉よりはうまみがつよく感じられて、赤身ではぱさついたり物足りなさを感じることがありますが、熟成肉ではそのような欠点が克服されています。熟成する過程でアミノ酸の一種のアスパラギン酸やグルタミン酸が通常の状態の数倍にもなるとされているほどです。とりわけグルタミン酸は調味料の原料に使用されているほどに強い旨みを持っています。
しかし熟成肉の美味しさの秘密はアミノ酸だけでなく、「ピラジン」と言う物質が増加することが関係していると見られています。ピラジンとは揚げ物などの加熱する過程で生成される科学物質で、アミノ酸と糖質が加熱調理した際に発生するものです。独特の香ばしさは卑近な事例で上げてみれば、ホットケーキ生地をフライパンで加熱調理したときに発生する香りも該当することになります。ホットケーキ生地には卵などにf組まれるたんぱく質のほかに、糖分も加えられているので加熱すると「糖化」現象が発生し甘い香りが発生するというわけです。熟成肉にはピラジンが増加しているので、焼き上げたときのかおりは普通の牛肉に比較するとはるかに強いものがあります。熟成肉が美味しいと評価されることの背景には、ピラジンのようにアミノ酸を原材料にした香り成分の影響があることを見て取ることができそうです。さらに熟成した牛肉では「ラクトン」と言う和牛特有の甘い香り成分が増加することも明らかにされているのです。ラクトン類は脂質の酸化によって発生する物質で、サシが入っていることの多い和牛ならではの独特の香り成分と考えらています。この点は赤身肉がほとんどを占める外国産では、ほとんど感じることができない特徴です。
このように牛肉の味や香りは、「和牛香」と呼ばれていますが脂肪分とたんぱく質がもたらしているものです。国内の市場では脂肪分が多くきれいなサシがはいっているものが高く評価されています。A5ランクの最高級品においてはサシの豊富さが品質をはかる重要な指標と認識されているわけです。しかし普段の食生活においては、価格の問題もありますが必ずしも市場価格とニーズに合致が見られるわけではなく、個人の嗜好におうじて脂肪分のもつ甘みや口どけと、肉本来がもっているアミンさんなどの旨みのバランスをどこに置くのかによって、それぞれ好みで選別しているのが現状です。従来からサシの入った肉に高い評価が集める傾向が見られたものの、熟成肉の流行にみられるようにかみごたえや滋味豊かな肉汁などがもつ味わいを評価する動きも広がっています。
バーベキューでは直火で強力を火力を発揮することができるので、肉だけでなくウインナーやベーコンなどの加工肉の美味しさを引き出します。あまり値段や等級にこだわることなく、好みの素材を楽しむ姿勢で臨むのがおすすめです。
牛肉に含まれる栄養素
生活習慣病の罹患のリスクを高めるのが、脂質異常症に代表される脂肪分の過剰摂取です。戦後高度経済成長を経て食生活の欧米化に伴って、日本人の牛肉の消費量は激増しました。脂質異常は脂肪肝などの肝機能障害や痛風など、色々な病気に波及するリスクを抱えているのは事実。生活習慣病j対策のために肉類の摂取については、抑制的に構えるとのスタンスがとられていた時期もありましたが、最近では肉類に多く含まれるLカルニチンの解明が進むなど、牛肉に対して栄養的に再評価する動きが活発になっています。食材の如何を問わず過剰な摂取は健康上の問題をもたらすリスクを有していますが、適量を取ることで健康増進を図ることが出来るのです。そこで牛肉に含まれる栄養素を概要を把握し、意義を再確認してまいりましょう。
牛肉は淡水化物・たんぱく質と脂肪分の三大栄養素のうち、たんぱく質と脂質を補給する食品として重要な位置を占めています。特に大事なのは動物性たんぱく質を効率的に補給することができる点です。牛肉には人間が体内で合成することのできない「必須アミノ酸」を豊富に含んでいます。
ここに必須アミノ酸とは、バリン・ロイシン・イソロイシンの総称で人体では作り出すことができないので、食事を通じて必要量を摂取する必要があるわけです。アミノ酸は鎖が枝分かれするような構造式をもっているので、BCAA(分岐鎖アミノ酸)とも呼ばれています。BCAAは運動時に筋肉のエネルギー源として作用し運動をサポートしてくれる重要な作用を持っているのです。特にランニングのように持続的有酸素運動を行うと、人体内部では糖質や脂肪細胞に蓄えられた脂質や血液中のBCAAなどをエネルギー源と利用しますが、それらを使い果たしてしまうと筋肉中に貯蔵されたBCAAをエネルギーに利用するので最終的には筋肉細胞の分解につながります。その状態を改善しないまま運動を継続すれば、やがては筋肉が損傷を被り筋力が低下するなど、パフォーマンスの低下を招くわけです。これでは運動をしているにもかかわらず運動能力や筋力などの充実につながらないばかりか、筋力低下などのマイナス面すらも現れるようになってしまいます。筋肉に蓄えられたBCAAを利用する事態を防止するには、食事を通じて必須アミノ酸を摂取し血液中に一定程度の濃度で必須アミノ酸が維持されている状態を実現することが必須です。牛肉を摂取することには血液中の必須アミノ酸濃度を維持し、各種の運動でのパフォーマンスの低下を防ぐ意味合いがあるといいえます。
ところで牛肉のたんぱく質は美容面でも重要な意義を持っているのです。人間の皮膚や毛髪などの細胞では活発な細胞分裂が起こっており、あらゆる細胞の生成には十分なりょうのたんぱく質が必須になっています。皮膚や毛髪には一定の周期で、古い細胞が新しいものに置き換わっているサイクルが不断に繰り返されているわけです。また皮膚には一番外側の表皮のしたには真皮層、さらにその下には毛細血管や末梢神経などが分泌しています。このなかでも真皮層は肌のハリを維持するうえで、非常に重要な意味をもっているのです。この真皮層ではコラーゲンやヒアルロン酸やエラスチンなどが分布していますが、これらの物質が必要量生成されることが必須の条件。牛肉に含まれるたんぱく質には、これらのコラーゲンなどを生成する材料になっているので肌のハリを維持する上でも重要な役割を担っているわけです。
そして免疫機能の維持の上でも牛肉を摂取することは、欠かせない栄養素を供給することになります。人体には細菌やウイルスなどの外敵や有害物質が侵入してきても、これを排除する免疫機能が備わっているのです。免疫システムは細菌などの感染を探知する器官や、外敵を排除するためのリンパ球やマクロファージなど多層構造で構成されています。これらの一連の組織が十分に機能するには、各組織を構成する細胞を生み出すためにも、たんぱく質は必須です。従って肉をたべることには本来の免疫機能を維持して、身体の恒常性を担保するという重要な意義を見出すことができる訳です。
ところで牛肉にはたんぱく質や脂肪などの三大栄養素意外にも、ビタミンやミネラルなどの微量元素も豊富に含まれている特長をもっています。いくら三大栄養素を摂取しても、炭水化物やたんぱく質などを代謝できなけば、慢性疲労や免疫機能低下などの不都合が出てくるでしょう。人体の生命活動を継続する上で重要な機能をになっているのがエネルギー代謝に関連するビタミンB群です。ビタミンB群には幾つかの種類があることが知られており、それぞれ異なる機能を有しています。例えばビタミンB1は糖質からのエネルギー代謝を活性化し、皮膚や粘膜細胞での細胞分裂を活発にするといった重要な機能を担っています。同じくビタミンB群に属するナイアシンは糖質や脂質のエネルギー代謝に密接な関係を持っているのです。こういったビタミン類は本来であれば、普段の食事のなかで摂取されていくのと同時に、腸内細菌の働きで作りさされることで供給されるのが理想的といえます。しかし現在の食生活にあっては、ビタミンや腸内細菌のコンディションを整える食物繊維を含んだ野菜類の摂取量が不足をきたしているので、意識的に摂取する必要があるわけです。
また牛肉には各種のミネラルも豊富に含まれています。とりわけ女性では月経の影響で不足しがちな鉄分が豊富です。鉄分は赤血球の色素であるヘモグロビンの生成に鉄分は必要不可欠です。ヘモグロビンには酸素を全身の細胞に運搬する役割をになっているので、鉄分が不足すると赤血球の不足をきたして貧血になり息切れや全身倦怠感に見舞われるようになります。鉄分は植物にもふくまれていますが、牛肉などに豊富なヘム鉄のほうが効率的に体内に吸収されるので貧血の予防に有用性が高いとされているのです。
そして現在人の食生活で不足しがちなミネラルに、亜鉛を指摘することができます。亜鉛はたんぱく質を合成したり分解したりする重要な機能を負っています。身体のあらゆる細胞はたんぱく質で形成されているので、身体の器官をだけでなく肌や髪の毛など美容面をサポートする上でも重要な意義を有しています。必要量はわずかですが慢性的に不足すると、肌のハリがなくなったり、味覚障害の原因になるなど不足する事態は回避するべきミネラルの一種です。魚介類に豊富ですが、好みの分かれる食材が多いので肉を食べることで補給を意識的に行いたいミネラルと言えます。
最近では赤身肉に豊富に含まれるLカルニチンというアミノ酸の一種が注目を集めています。脂肪がエネルギーとして代謝される際には必要がある訳です。この脂肪のエネルギー代謝を活性化するのがLカルニチンの役割になります。Lカルニチンを積極的に摂取することで、効率的な脂肪燃焼が促進されるので、牛肉の赤身肉はダイエットの観点からも注目を集めています。
牛肉にはどんな部位がある?
牛肉の身体の色々な部位が食用に供されているのはいくつもの種類があり、分類方法も焼肉屋や精肉業者によっても若干異なっています。分類法や種類や数についてはインターネット空間を含めて、様々な情報であふれかえっているのが現状です。部位を細分化することによって、名称は違っていても実は同じ箇所を含んでいたりするので、余計に容易に把握することを難しくしています。スーパーの店頭などで毎日目にする機会の多いポピュラーなものから、一部の精肉店や高級焼肉店などでしか目にすることも出来ない高価でレアなものなど実にバラエティに富んでいます。そこで牛肉の代表的な部位やその特徴などについて御紹介してまいりましょう。
牛肉を代表する部位がサーロイン、牛の腰に相当する箇所になります。腰部分の肉の中でもサーロインは特に肉の繊維がキメが細かく、良質の脂が適度に分布しているのが特徴です。加熱すると甘みの強い脂のコクと共に濃厚な肉汁の旨さを堪能することができ、バーベキューでも大人気の食材の一種になります。
肩ロースは肩周辺の肉から腕部分をぼぞいた箇所のことです。少し筋がありますがキメは細かく軟らかい肉質をしているのが特徴。サシがはいることが多いものの、適度に止まるので赤みと脂肪のバランスがよくなっていますが、サーロインやリブロースなどに比べると安価で入手しやすくなっています。
リブロースはサーロインに次ぐ高級なグレードの肉で、肩ロースとサーロインをつなぐ箇所に相当する部位です。並みいる箇所のなかで最もサシが入りやすく、肉質も繊細で見た目も美しいサシ模様を目の当たりにすることが出来ます。ステーキやバーベキューはもちろん、すき焼きなどあらゆるシーンで活躍するわけです。
ヒレ肉はサーロインの下側に位置している肉になります。軟らかさの点では牛肉のほかの部分の中でナンバー1となっており、胃や腸などの内臓の直近に位置しているので、筋肉を駆使することがないので赤身肉でありながら口当たりが優しいのが特徴です。一頭の牛の中からわずかしか取れない稀少部位なので最高級部位に分類されます。サーロインに比べるとさらに脂肪分が少ないにもかかわらず肉質が軟らかくなっています。最高級部位のシャトーブリアンはヒレの一部を構成する部分になります。脂肪分が少なく味わいが濃厚なわりにヘルシーな肉質と評価出来ます。肉の繊維が繊細で脂肪が程よく乗っているので焼肉やステーキ、バーベキューでもおいしく召し上がることが出来るのです。
ところで焼肉でおなじみのカルビはバラ肉に相当する箇所から取れる食材。カルビを含むバラ肉には、色々な部位が含まれるのでいくつもの種類に分類することが出来ます。焼肉店などでも各店舗によって色々な名称がふされていることが多いので、結局どこの部位のことを指しているのか良く分からないまま口にしていることも珍しくありません。
そもそもカルビとは韓国語でアバラ、つまり肋骨やその周辺の筋肉などを総称する言葉です。牛の肋骨やその周辺の肉を示しているので、かなり広範囲をカバーしているといえます。牛では肋骨が肩周辺からお腹周りまで複数の肋骨が存在しているので、胸からお腹回り周辺までを含むことになるわけです。そのため色々な分類の方法があり、長年の慣習などによって色々な名称が付されていたりします。そこでカルビの代表的な部位を幾つかピックアップしてまいましょう。
肩バラは肋骨の外側に位置する部位になります。赤身と脂肪が層のように重なり合っており、一見すると赤身にサシが入っているので軟らかそうな印象を与えますが、繊維質で硬めの食感を持っています。薄切りにして繊維を断ち切ればすき焼きなどで、赤身肉の存在感を味わいながらおいしくいただくことが出来ます。厚切りにしてソテー後に煮込むようなカレーなどに向いているようです。
中落ちカルビは肋骨の間にある場所で、内臓を保護するための肋膜や筋肉などで構成されているので、繊維質がつよく筋張っているので、薄くきることがポイントです。そのため値段はリーズナブルになっており、バーベキューでは脂がにじみ出てくるので直火の特性を活かすことでおいしくいただけるでしょう。三角バラは第1から第6肋骨までの部分を三角形に切った形を意味しています。カルビの中ではサシが入りやすくばら肉の中では一番人気の部分です。サシが十分に入った素材では、肉汁の旨みも油脂分のあまみも濃厚で白米にも、赤ワインやビールなどのお酒にも抜群の相性を堪能することが出来るはずです。カイノミはカルビの中で一番背中よりの場所になり、脂肪がすくなく赤身が中心になっています。ヒレに近い旨みのつよさとやわらかい食感の両面を兼ね備えています。
ランプ肉とは、サーロイン(腰)の後方に位置する後ろ足の脚部の箇所から、お尻にかけて分布する箇所のことです。場所的にお尻に近いのでランプ肉といえば、お知り周辺の肉というイメージが強いようです。もも肉の中では最も柔らかく適度にサシも入っているので、ほどよい食感と旨みのバランスの良さを楽しむことが出来る箇所です。
ランプのより後方で後足のもも部分に相当するのが、外ももになります。後足の付け根付近に分布しているので、運動時の負荷がつよくかかるので赤身が中心です。脂肪が少ないのであっさりした牛肉を楽しみたい方におすすめです。肉質が引き締まり均質になっており、繊維質ですが適度なやわらかさがあるので、ブロックでの調理に向いています。後足の付け根の内側に位置するのが、内ももです。この部分も運動時に負荷がかかる箇所になるので脂肪分が少なく赤身メインになっています。
タンは牛の舌に相当する部分のことです。薄切りすることで独特の食感と旨みを感じることが出来るので女性からの人気も強く、とりわけ黒毛和牛のタンになると入手が困難になっています。仙台などでは名物料理の一種にもなっていることから、全国的にも焼肉店舗でも人気の食材の一つになっています。舌は一種の筋肉に相当し、えさを咀嚼したり反芻するときには盛んに動作する箇所なので、ブロックのままでは食管がつよすぎるのは納得できるところです。そのため薄くスライスして使用されるのが一般的ですが、最近ではあえて厚切りにしてタンならではの食感の強さを楽しむスタイルも登場しているようです。同じタンのなかでも先端部分と中央のそして根元の部分に分けて提供されることもあります。先端方向に向けていくにつれて硬くなるので先端部分は煮込み料理、中央や根元部分は薄くスライスして焼肉にされることが多いようです。
カルビに似た食感をする部位として人気が高いのが、ハラミになります。ハラミとは横隔膜の部位の肉で、肺自体の挙動を可能にしている部位です。上質なものではサシも入りますがカロリーは控えめで、旨みがつよいので焼肉では人気の部位になっています。
牛肉の部位ごとのおすすめ調理法
牛肉は部位別に味わいや脂肪分の配合などに違いがあるので、同一の食材でありながらも際立った個性を確認できることから最適の調理方法も色々あります。個性の強い素材の持ち味を活かすには、どのような調理法がふさわしいのか、代表的な部位を取り上げて御紹介して参りましょう。
ヒレ肉を素材にした煮込み料理の王道が、ビーフシチュー。赤身でありながらちょうど良いサシが入っているので焼き物や揚げ物の素材にしても美味しく召し上がれます。旨みがつよく加熱しても形が崩れないのでスープの材料にもぴったりですが、その長所をいかすことでビーフシチューにするのがおすすめです。煮込むことでゼラチン質がスープに溶け出し、深い味わいの仕上りになります。正に持ち味を存分に引き出すためにおあつらえ向きのメニューが、ビーフシチューですが幾つかの注意点を抑えておくことが大事です。シチューのベースになるのは、玉ねぎの甘みです。玉ねぎを繊維方向に対して垂直に断ち切ることを意識してみじん切りにして、弱めの火力でじっくりいためます。サラダ油でも問題はありませんが、仕上りのコクと風味をよくするなら贅沢にバターを強いていためるのがベターです。煮込みといためる、両方の調理工程をひとつの鍋でまかなうことができる、ホーロー鍋を使用するのも利便性が高い方法です。あめ色になるまで炒めたら、一度別に取り分けておいて下さい。その後にバターを熱した鍋に厚切りのブロック上にカットしたヒレ肉を投入して、焼き目をつけるように加熱します。下味の塩コショウは鍋に投入する直前にすることで、ドリップが逃げ出してしまうことを防ぐことができます。ヒレ肉の全体に焼き目がついた頃合を見計らって、先ほど炒めたあめ色の玉ねぎと人参を追加投入して下さい。香りとコクを継ぎ足すために赤ワインを入れて、しっかり加熱してアルコール分を飛ばします。赤ワインが煮立ってしばらくたったくらいがアルコールが抜けた目安になるので、市販の缶入りドミグラスソースを一缶投入して、2時間から3時間ほど弱火で煮込めば完成です。肉を炒めるときには、タイムやローリエなどの香草を糸で束ねたブーケガルニを入れるのもより豊かな香りを堪能できるので、用意できれば追加するのがベターです。時間はかかりますが、じっくり弱火で煮込むことでヒレ肉の持ち味を活かしながら、とろけるような歯ごたえの絶品のビーフシチューの出来上がりです。
手頃な価格で気軽に食卓に登場する機会の多いもも肉は、ローストビーフにすることでなかなか味わえないご馳走に変身します。適度な加味応えと旨みを含んでいますが、普通にローストしたりすると筋張った仕上りになってしまうことがあるのは事実です。もも肉の旨みの濃厚さと心地よりかみ心地を活かすにはローストビーフがおすすめ。調理にあたっては肉を常温に戻すことから始まります。冷凍状態なら完全に常温に戻すには、2時間から3時間程度が必要です。ブロック状の肉の全面に塩や粗引きコショウ、にんにくの摩り下ろしなどをしっかりと揉みこんでください。下味が全体にゆきわたったら、強火で加熱したフライパンにブロック状のもも肉を投入し、全面に焼き色をつけることを意識して、表面をローストします。香ばしい焼き色をつけるにはあまり頻繁に肉を動かすのは控えてましょう。ある程度の時間は動かさないで香ばしい焼き目をつけることに注意して、頃合を見計らって焼き目をかえることです。焼き色が付いたら火を止めて、すかさずアルミホイルで全体を包み込みます。そんままの状態で30分ほど経過すれば、余熱で火が通るので完成になります。しっかり余熱がなくなったら切り分けてローストビーフの完成です。より本格的にするには肉汁からグレービーソースを作ることになりますが、シンプルにワサビと醤油でももも肉の持ち味を堪能できます。
牛肉の美味しさを堪能する王道といえば、サーロインのステーキです。名前の由来はあまりのおいしさにイギリスの国王から貴族の称号「Sir」を与えたことにあるとされているほど、歴史をもち長らく愛されてきた定番のメニューです。軟らかく脂肪の深い甘みを感じることができ、肉汁のジューシーさも兼ね備えたのがサーロインの持ち味。焼き上げたものを口に含むと、甘い肉汁が一杯に広がるので非常に嗜好性が高く誰からも愛される味わいを感じさせてくれます。食材としての本来の実力を発揮させるには御家庭でも、やはりステーキがベストといって間違いありません。特に焼き方にこだわりがない限り、ミディアムレアにするのがおすすめです。肉汁や程よいかみ応えも堪能することができるのは、ステーキをおいて他にないからです。調理するときには肉が縮じんだり、反り返ってしまうのを防ぐために切り込みを忘れないことがポイントです。赤身の部分と脂肪の境目あたりに、数箇所包丁で切り込みをいれることで、繊維を切断し調理過程での変形やそりを防ぎ歯ごたえを改善することができます。冷えたままで加熱すると、全体に熱が行き渡るまでに時間がかかるので、意中の焼き具合に完成させるのが困難になります。ステーキを作るつもりが中途半端な牛のタタキになってしまうのを防ぐには、常温に戻しておくことが大事です。冷凍なら常温の環境で2時間以上、冷蔵でも30分から1時間程度放置しいていおいて、中まで常温に戻しておきます。ただし常温に戻すといっても、長期間放置しておくとドリップ(肉汁)が逃げ出してしまうので焼き上がりの味わいが薄くぱさつく仕上りになってしまうので頃合を見計らって調理に着手することが求められます。味付けは塩コショウだけのシンプルなものですが、加熱直前にまぶすことが鉄則です。塩をかけて長時間放置すると肉汁が逃げ出してしまうからです。輸入牛はうまみが乏しいのでしっかりめに塩コショウをすることが必要ですが、クオリティの高い国産黒毛和牛の場合は素材のうまみを引き出す程度の塩コショウで十分です。脂はやはりサラダ油ではなく、牛脂(ヘッド)を用いるのがジューシーで贅沢な味わいを堪能することができます。牛脂を加熱して油分を十分に出してから、サーロインを投入して加熱に入ります。片面1分から2分ほどの時間をかけて、表裏両面に焼き目をつけます。ブランデーなどを途中で少々加えると、急速に温度があがるので効率的に加熱すると同時にブランデーなどの香りを付け加えることが叶います。取り出した肉はすぐに召し上がるのではなく、アルミオイルに包んで5分程度放置して肉汁を落ち着かせます。これでようやく肉汁をたっぷり含んだ、サーロインステーキの完成です。付け合せにはゆでた人参をバターでソテーしたものに、マッシュポテトがおすすめです。肉汁を吸い込むことで、コクの深い付け合わせを簡単に添えることができ、口直しになります。
牛肉と一緒に食べると美味しい食材
牛肉はそれ自体が十分に旨みや脂肪分の甘みをもっているので、単体で十分美味しくいただけます。脂身のバランスや歯ごたえなどをどこまで求めるかによって、サーロインやカルビ・肩ロースにタンなど素材の持ち味だけでも満足感を得ることができるのです。しかし持ち味が強い食材だからこそ、他の素材と組み合わせることで、新たな味わい方を発見することが叶います。それでは牛肉と意外な美味しさを感じさせてくれる食材を御紹介しましょう。
現在では案外採用されることが珍しくないのが、ウニとの組み合わせです。濃厚で刻が深い回線のウニと和牛とのマリアージュは某有名番組で取り上げられた2004年当時でも、さほど珍しい組み合わせではなかったそう。濃厚な味わいのダブルかけはある意味「逆張り」テイストが濃厚ですが、細かいことは気にしない層から圧倒的な支持を得ていたのも納得できる話です。ウニはもちろんレアですが、牛肉に関してはあえて湯通ししてさっぱり目で責めてゆくか、ローストして肉の旨みと甘みを前面に押し立ててゆくか両方向からのアプローチが成立したようです。ただし健康診断で脂質異常が指摘された人は食べすぎにはくれぐれもご注意を御願いします。
人気の高い三角バラに魚介類の王様のタイをあわせた組み合わせも人気です。サシの入り具合とくせのない味わいが人気の三角バラに、あっさりした風味が心地よい真鯛をそれぞれミンチにして、まき寿司の具に入れた逸品です。ふくざいに芽ねぎをいれて食感にアクセントをつけて、塩昆布で全体に塩味でアクセントをつけて冗長な仕上りにならないように工夫しました。
日本を代表するハーブの山山椒との風味の組みああ早稲の妙が光るのが、和牛と山椒のカルパッチョになります。肉の方はレアではなく、軽く火を通してすこし脂身が溶け出るくらいに下ごしらえを済ませておくのがポイントです。味付けはオリーブオイルをベースに塩コショウで調整し、ビネガーで全体のまとまりをつける感覚ですが、本場イタリアのバルサミコ酢にこだわるとオリジナリティーあふれる本場の味付けを体感できるはずです。バルサミコ酢は温暖な地風海気候で年中温暖なイタリアで収穫されるオーガニックぶどうの果汁を煮詰めて、木ダルで長期間熟成されて始めて完成に至ります。牛肉とあわせるなら、あえて脂肪分が多く最高級品に分類されるA5クラスの国産和牛と組み合わせても本来の持ち味を発揮できるでしょう。
牛との組み合わせでは意外ですが、ごぼうがおすすめです。ごぼうに含まれるリグニンという水溶性の食物繊維は腸の動きを活発にして、有害な物質の体外への自然な排出を促してくれます。ゴボウはあくが強いので、ササガキ状に包丁でカッティングしたらすぐに水にさらして灰汁を抜くのがポイントです。ただしあまりに長時間水にさらしておくと、持ち味や風味まで失われてしまうので、適当な時間さらしたらざるにあげて水分を切っておくことをお忘れなく。肉でごぼうを巻き込んでロール状にしたものを、サラダ油で加熱して醤油に砂糖と日本酒をあわせた調味液で絡めれば、みんな大好きのおかずの完成です。肉は赤身でもサシが入ったものでも、どちらでも美味しく召し上げれます。ただし弁当のおかずに入れるときには、冷めた後の油脂分が固まって風味が劣化することを踏まえるとさっぱりした味わいの赤身のほうがより美味しくいただけるかもしれません。
ところでバーベキューなどのお肉を焼くシーンで欠かせないのが白米ではないでしょうか。白米という和の食材と、江戸時代までは食することすら幕府から規制のされていた肉の組み和早稲と言うのは、ある意味禁制品の味わいを改めて実感させてくれる組み合わせといえます。そんな日本人のソウルフードの牛丼はたまねぎなどの食材との組み合わせの絶妙な加減を堪能することができます。そこで普段はあまり馴染み深すぎて作り方を意識しない牛丼のレシピを再確認しておきましょう。
生姜を千切りにしておき、玉ねぎは繊維に対して垂直方向で千切りにしておき下ごしらえを済ませておきます。鍋にサラダ油を適量たらして、生姜を弱火でいためて香りを出させた後に、玉ねぎの千切りを加えてください。玉ねぎは中火でいためて、辛味をとばしてたまねぎのもつ甘みを加熱によって引き出すのがポイントです。たまねぎが火が通り透明になったら、牛肉を加えてさらにいためます。この時の肉はさほど値段が張らないお手軽なものでも十分です。玉ねぎの甘みとサラダ油などのコクをプラスするので、さほどサシが入っていない値段もリーズナブルな赤身のもも肉でも問題ありません。肉の色が変わったら日本酒と砂糖を追加して味のベースを作ります。日本酒はアルコール分を十分に飛ばさないとくせが残ってしまうので、十分に火を通すのがポイントです。砂糖を先に投入するのは浸透圧の関係で、塩分を先に投下してしまうと、糖分の甘みなどは後の工程で追加しても浸透するのが困難だからです。アルコール分が富んだら、5分ほど蓋をして加熱を続けます。肉やたまねぎなどの野菜から水分が引き出せたようなら、醤油を使って味を仕上げます。風味をアップするためにオイスターソースで味を引き締めるというのもありです。
牛肉といえば、旨みが濃厚で油脂分の持つ独特の香りの主張が強い食材になります。そのつよい主張を味わうには、時にははし休め的なメニューも欲しくなるところです。そこで相性のいいカブを素材に採用した簡単な和え物も御紹介します。カブは皮をむいて食べやすいサイズに切り分けておき、5分ほどゆでておきます。カブは加熱調理しすぎると身が崩れてしまうので適当な頃合で加熱のみきわめをするのがポイントです。葉の方は食べやすいサイズに切り分けたら、1-2分ほど茹で上げます。火が通ればカブの身と、葉をざるに上げて水切りしておき、調味済みのあわせ衣にからめます。あわせ衣は醤油をベースに練ごまを適量加えて、砂糖で甘みを調整し物足らない印象があれば、塩を加えて全他のあじつけを調整して下さい。カブはくせがないので、大根のように加熱するとにおいが気になる、と言う方でも気兼ねなく召し上がることができます。ただし荷崩れしやすいので過熱のしすぎには十分にご注意してください。
しかしなんといっても老若男女、牛肉との組み合わせではずせないのが、白米では無いでしょうか。どの部分の箇所の肉なのかを問題にすることなく、美味しくいただくことができるでしょう。バーベキューのシーンでは予め、おにぎりを用意しておき、当日に現場でそのまま食べるようにできれば気軽で手間もかかりません。バーベキューでは肉だけでなく、ベーコンやソーセージなど味わいが濃厚で油分もたっぷりなメニューを口にすることがおおいので、おにぎりの具も梅干や昆布などシンプルで飽きのこないものがむしろ満足感が高くなります。
牛肉の下ごしらえ

値段に糸目をつけないでサーロインやリブロースなどの牛肉を購入できるのであれば、わざわざ下ごしらえをおするまでもなくシンプルにローストするだけでもおいしく頂くことができるでしょう。しかし多くの場合は、スーパーでの売り出し価格なども参考にしながら購入することがむしろ一般的では無いでしょうか。リーズナブルな価格には当然理由があります。一口に言えば、そのまま正攻法の調理法で料理に取り組んでも、さほどおいしく食べるのを期待することが難しいというわけです。せっかく安く入手できた牛肉をよりおいしく召し上がるためには、ちょっとした下ごしらえや工夫が必須になります。そこで少しでも軟らかく美味しく口にすることができるように、下ごしらえの方法や注意点を御紹介しましょう。
前提として重要なのは新鮮な牛肉を択ぶことにあります。どれほど工夫をこらしても、素材の新鮮さが損なわれているようではあらゆる努力も水泡に帰することになるからです。昔から肉は腐る直前が味わいも濃厚になるという俗説が流布しています。これと機をいつにするかのように、「熟成肉」などを標榜する店舗なども登場しているようです。外国ではドライ・エイジングなどという手法を駆使して、旨みをつよくした牛肉を食材に使って、味わい深いステーキを提供している店舗も数多く展開しています。
しかし「熟成肉」にしても「ドライ・エイジング」にしても適切な環境のもとで管理されてこそ、安全に食材として活用することが叶います。ご家庭で熟成肉などに挑戦したところで得られるのは、「腐敗肉」に過ぎません。乳酸菌をはじめとした各種の細菌が繁殖しており、食材として活用できるシロモノではないのです。乳酸菌と聞くと腸内細菌を想定しがちですが、食材に繁殖した乳酸菌を摂取しても食中毒などの危険が高いだけです。家庭では新鮮な牛肉を択ぶのがすべてのベースになります。新鮮かいなかのポイントは、赤身のキメが細かく、色は鮮やかで見た目に爽やかさ。色合いが変化しているのは、加工後長期間酸素に触れた結果の可能性があります。見た目にくすんでいたり、肉汁がパックの片隅に溜まっているような食材は避けるのが賢明です。
新鮮な牛肉を購入することが出来たら、下ごしらえに早速着手しましょう。下ごしらえの基本は、余計な水分を取り除くことです。肉についている水分はペーパタオルで軽くふきとります。あまりつよくすきとると繊維を見出し乾燥をきたしてしまうので、味も食感も損なわれてしまうので軽くふきとるのがポイント。余計な水分には臭みなどもふくまれているので、調理時のニオイなどを軽減することが叶います。ある程度のブロック状の肉などはスジきりをすることも忘れないで下さい。
スジとは肉の赤身部分の筋繊維のことですが、これを残したままローストすると食管が硬く反ってしまったりします。基本は脂身と赤身の部分に3-4箇所を、包丁で切れ込みを入れることです。ところでより美味しくいただくにはやわらかさが重要です。元来は部位によって硬さや繊維質に特性がありますが、下ごしらえである程度対処することは可能です。その下ごしらえの方法とは、肉たたきを活用することにあります。肉たたきとは四角柱状の小さな突起が複数刻印された木製あるいは金属製の調理機器のことです。肉たたきで叩くことで繊維をたちきり筋張った食感を改善してくれます。そしてステーキなど肉料理では塩コショウで下味をつける機会が多くなりますが、味を浸透させるために塩コショウを振ってから長期間放置するのは御法度です。塩の影響で浸透圧が変化し、旨みを含んだドリップが抜け出てしまってパサパサでかみ応えも貧弱になります。塩コショウは焼くなどの調理の直前に行うのが基本になります。
肉には赤身と油脂の白身の部分に分かれます。高級な和牛などでは、脂肪が白く線状になっている「サシ」が見られることが多く白身と判然と分かれていない場合もあります。しかし一般的なもも肉などではサシが少なく脂身の白身の部分が明瞭に分かれていることも珍しくありません。脂身を残すことで油脂の旨みが溶け出し完成後に濃厚な味わいに仕上げることが出来ます。特に煮込み料理では濃厚でとろりとした食感を楽しめるわけです。ヘルシー指向が強まるなか脂身は敬遠される傾向がありますが、美味しさの観点でいえば有益な側面もあります。従って好みでカットするなり、残すなりすれば良いでしょう。
ところで特売品などでは、そのまま加熱調理すると、硬い仕上りになって噛み切るのも困難になってしまうことが良くあります。安かったのを購入したのは良いが、料理にしてみるとあまりの硬さに辟易した経験をお持ちの方も少なくないでしょう。やすい赤身肉でも柔らかい仕上りにするには、下ごしらえが重要です。軟らかくする上で有用なのは、マリナード(調味液)の活用にあります。マリナードには色々な野菜や香辛料などが活用されているようです。例えばシチューのマリナードでは、赤ワインやにんにく・玉ねぎなどの香味野菜をあわせたものに12時間以上漬け込むという方法が実践されています。野菜の持つ消化酵素やワインなどの旨みが添加されることで、肉質が軟らかくなりうまみもプラスされるのでクセも和らぎます。つけたあとは肉を取り出しペーパータオルで余計な水分を取り除いてから調理に使用します。
肉を軟らかくする調味液には、シンプルに玉ねぎを摩り下ろしたものにマリネすると言う方法もあります。少し趣の変わった方法にはキノコのみじん切りとあわせるというものも。椎茸やしめじなどお好みのキノコのみじん切りと、肉と少量の水をジップロックなどの密閉容器にいれて反日程度冷蔵庫などで保存します。キノコに含まれる消化酵素が軟らかい肉質へと変化させてくるというわけです。
煮込み料理のときには、肉汁がすべてスープのなかに溶け出してしまうと、出がらしのような派冊射た仕上りで旨みも感じられない仕上りになってしまうことが良くあります。煮込み料理の時には下ごしらえとしてローストしておくことが重要です。煮汁に旨みが溶け出すのは必ずしも悪いことばかりではありません。スープやブイヨンを作るときにはむしろ煮汁に旨みが溶け出す作用を活用して作るわけです。しかしシチューなどの煮込み料理では、肉のおいしさもしっかり感じることの仕上りにすることが重要です。旨みが逃げ出さないようにするには、表面にしっかり焼き付けることです。煮込みに入る前に、肉の表面全体を焼き付けて表面のたんぱく質を凝固させてしまい、肉汁を閉じ込めます。このように少しの下ごしらえで、より美味しいバーベキューにつながります。
牛肉の保存・運搬方法
特売などで牛肉を購入してもすぐに料理に使用する予定がなく、中長期的に保存することが必要な場合があります。漫然と短期間なら冷蔵庫、中長期的には冷凍庫、という風に安易に考えていることは無いでしょうか。基本的には冷蔵庫と冷凍庫の使い分けをすれば問題はないわけですが、牛肉は酸化しやすい性質をもっているので保存方法を誤ると、劣化してしまって食材としてのクオリティが著しく落ちてしまうことがあります。場合によっては腐敗してしまったり、食材として使い物にならない状況に陥ることも。そこで正しい保存方法を検討して参りましょう。
まず保存期間が数日程度なら、冷蔵保存を選択することになります。冷蔵保存をする場合に注意するべきなのは、冷蔵庫内の温度です。冷蔵庫は常に5度以下のコンディションであることが理想とされています。とことろがご家庭での冷蔵庫は頻繁に開閉を繰り返すので、5度以下の気温を常にキープするのは困難といわざるを得ません。そこで牛肉の保存場所にはチルド室や氷温室になります。
すぐに調理する予定がないときには、トレーから取り出して保存することを心がけて下さい。キッチンペーパーで表面の水分を軽くふき取って、ラップ材で包み込んで酸素と触れない状態にして、可能な限り真空状態にした専用パックに封入しておきます。ラップ材で包んだだけで保存していると、はがれてしまったり他の食材のにおいが写ってしまう可能性があります。ラップに保存バックを併用することで食材の劣化を防ぐように留意してください。市販の保管容器での保存は、必ずすき間が出来てしまうので酸素が入り込んで酸化を防止することが出来なくなるので、回避するのが賢明です。
1ヶ月単位での長期保存を検討しているな、ら冷凍保存を択ぶことになります。牛肉を冷凍保存するときに注意したいのは小分けにして保管するということ。冷凍と解凍の両方の時間を短縮できるだけでなく、必要量をその都度取り出して無駄なく食材を活用できるからです。購入した肉はトレーから取り出して、余計な水分を軽くふき取るのは冷蔵時と同じです。大きな塊では作業に手間取るので、空気になるべく触れさせないように効率的に作業をすすめることが必須といえます。できれば100グラムくらいに小分けすれば効率的に作業できます。保存バックの空気を可能中かぎり真空に近づけながら、保存バックに封入して冷凍室で保管して下さい。ひき肉の場合は保存バックに空気を抜きながら、平たく伸ばして保存することがポイントです。必要時に適量分を取り出すことができるように、菜箸などで畝をつけるようにしてスジをつけておくと、取り出すときに便利です。あるいはハンバーグなどの必要分量に小分けにして、保存バックにいれて冷凍するのもおすすめの方法になります。
冷凍時間を可能なかぎり短くすることが、長期保管中に品質の劣化を防ぐために重要です。急速冷凍機能があればあれば理想的ですが、それが実装されていない場合は金属バットに乗せて冷凍室に穂何することです。金属素材のバットは熱伝導率が高く、より急速に温度をさげることが叶います。
それではどの程度の期間を冷蔵や冷凍することで保管することが可能なのでしょうか。冷蔵庫で保管してついるといっても、酸素に遮断されているわけではないので、劣化の進行は避けられません。目筋状態でもないので、細菌繁殖を制御するのも限界があります。店頭に並んでパック入りされているものは、パックを見れば加工年月日と消費年月日が記載されているのを目の当たりにすることができるはずです。加工年月日というのはブロックの肉を切り分けて製品化した火のことです。消費年がっいというのは、家庭で適切に冷蔵保存した場合に安全に食べることのできる期限の目安のことです。消費期限を過ぎたからといって直ちに危険なわけではありません。尤も時間が経過するに従って、色が変化していくことがあります。冷蔵庫に入れてから数日後にとりだすと、茶色に変化してしまった経験をお持ちではないでしょうか。このような現象は酸素にふれることで肉が酸化していることを意味します。ただブロック肉などは酸素に触れる面積が少ないので変色しにくく、ミンチ肉などが酸素の接触面積が多くなるので酸化による変色は短時間で進行します。変色が出る目安はスライスで3日、ブロックで7日程度なのに対してひき肉では1日です。当日にしようする予定がないのであれば、ミンチは冷凍保存をする方が安全といえます。
これに対して冷凍保存ではより長い期間を保存できます。目安としては2週間から1ヶ月程度です。いくら冷凍保存といっても限界があるわけです。例えば一度解凍したものを再冷凍するというのはおすすめできません。解凍で温度が上がっているので衛生的に問題をかかえているだけでなく、冷凍やけを起こしてしまって、表面が乾燥してしまって旨みも喪失してしまうからです。冷凍焼けは長期間保管したり解凍冷凍の繰り返しで起きる事象です。従って冷凍保管にも限界があるので、少なくとも1ヶ月以内に使い切ることが重要です。
それではこれらの事実をふまえて、バーベキュー時の食材の運搬方法を検討して参りましょう。簡易なクーラーボックスを使用する場面が多くなりますが、低温を維持できるコンディションを整えておかないと、現地で調理を始める前に劣化してしまう可能性があります。どの程度冷気を維持する必要があるのか、現地までの移動距離や移動時間を考慮して、十分なスペックを持ったクーラーボックスを選択することが必須です。クーラーボックス内部で適切な冷気を確保するには、水を入れて凍らせたペットボトルを保冷材代わりにするのがおすすめです。ペットボトルにはより低い温度で表決するように塩を加えておくことがポイントです。塩水を凍らせることで、より冷たい氷を確保することになり、クーラーボックス内部を低温で保つことができることになります。ただし水は氷結すると体積が増えるので目一杯の水を入れると破裂してしまう可能性があるので、すこしすき間が残るくらいの水の分量にするのがポイントです。
クーラーボックス内部の一番底には、凍らせたペットボトルをおきます。直接食材に触れないようにラップや保管袋に肉や魚などは入れて下さい。コンパクトな冷却材を置いて、さらにその上に生野菜を乗せます。このように配置することで効率的に冷気を保てるはずです。スペースの関係上食材と冷却材が触れてしまう場合には、すのこなどをクーラーボックスのサイズに合わせてカットして配置するなどして対処します。
まとめ
牛肉と言えば、バーベキューの食材で王座の地位に君臨し続けている食材です。その魅力は焼き上げた時の特有のあまい香りと力強いうま味にあります。栄養学的にも必須アミノ酸を含む良質なたんぱく質に、脂肪燃焼を活性化しダイエットにも役立つLカルニチンや疲労回復に有用なビタミンB群や、貧血を防止するヘム鉄など健康維持や増進に必要不可欠な栄養素を豊富に含んでいます。サーロインやカルビをはじめ肩ロースにタンなど、こだわりの部位の肉をチョイスすることができます。昨今では熟成肉などを提供するお店も増えていますが、個人の方がバーベキューを楽しむなら新鮮な牛肉を購入することが必要不可欠です。食材が痛むことの無いようにクーラーボックスのサイズや冷却には工夫や注意が必要です。





