日本全国どこに住んでいても、身近な場所に焼き鳥をメニューに提供する居酒屋や飲食店を見つけることができます。それほどまでに日本人にとって鳥肉はとても馴染み深い食材の一つです。焼き鳥はいうまでもなく直火で加熱するメニューなので、同じ直火調理をすることになるバーベキューでも人気の食材の一つです。牛などに比べてもはるかにリーズナブルで、豚ほど脂身が強くないので低カロリーでヘルシーなので女性からも高い人気を誇ります。

鳥肉の味・香り
鳥肉は牛肉のように脂肪分の甘く食欲をそそる香りや赤味肉のもつ濃厚な味わいなどとは対照的に、淡白であっさりしているのが特徴です。特に牛肉のようなサシが入っていることはなく、豚肉のように濃厚な脂肪の甘みなどとも対極の味わいを持っていると言えます。たんぱくな味わいの中に、鳥肉ならではのほのかなコクが魅力ですが、この点については苦手意識をもつ方もいらっしゃいます。特に少し鮮度が落ちるとニオイを強く感じる傾向があります。鳥が苦手な方は鮮度いかんにかかわらず、臭みを感じてしまうようです。どうしてニオイを感じることがあるのか、その原因と対策などについて御紹介しましょう。
臭いの原因として考えられるのは、養鶏場などでそれまで肥育されていたときの餌のが肉にしみついていている場合や、その鳥自体が生来的に持っている場合もあります。購入後は冷蔵庫や冷凍庫で保管されているのが一般的ですが、それぞれの保管庫内の食材のにおいが移ってくることも想定されます。冷蔵庫内では様々な食材が限定された空間で保管されていますが、食材の持つ水分とともににおい成分が揮発し色々なニオイ物質が交じり合った状態になっていることが珍しくありません。通常はスーパーで購入したパックのままで冷蔵保管されていますが、完全な密閉状態ではないので他の食材のにおいが付着してにおいが付着する可能性は否定できません。しかも鳥の鮮度はすぐに落ちてしまうので調理のまえに賞味期限内になっているか否かを、確実に確認することが必要です。
お徳サイズの売り出しパックなどを購入すると、容量が多いために中長期的な保管のために冷凍庫に冷凍保管するシーンもよくあります。その都度解凍して必要量を使用して、残りは再冷凍するという方がいらっしゃいます。しかし一度解凍して常温に戻してしまうと、雑菌が繁殖を始めてしまい衛生的にリスクが高くなります。冷凍保管しても雑菌を滅菌するわけではないので、条件さえ整えば雑菌は」すぐさま繁殖を開始するのは確かです。たとえ再冷凍しても食材はいたんだ状態で保管されることになるので、雑菌が放出するニオイ成分が肉全体に回ってしまうこともありえます。しかもその都度使用することを繰り返していると、冷凍やけの原因になるのです。これは解凍の過程で食材の水分が抜け出てしまって乾燥してしまう状況です。しかも冷凍庫内で保管していても、アレルギー原因物質は時間経過に比例して増加するリスクも指摘されています。悪臭対策のみならず健康面でもリスクがあるので冷凍でもせいぜい1ヶ月以内には使い切るようにし、小分けにパックして必要量を使い切れるように工夫することが大事です。
臭う場合でも卵が腐ったような臭いや硫黄成分のにおいがする場合には、もはや腐敗をきたしているものと判断されるのでためらうことなく廃棄することが必須です。食べるべきか捨てるべきかの判断に迷ったら、悪臭の有無を判断すると同時に肉の色合いも観察して総合判断してください。比較的鮮度が新鮮な鳥肉では、あわいピンク色をしています。対照的に劣化がすすむと褐色がかった色合いへと変化していきます。劣化したものは黒ずんでいたり、表面に粘り気がでたりしています。劣化した素材を加熱調理しても、熱では分解されない毒素もあるので衛生的に危険なのは確かです。劣化の徴候を示した肉は、一切調理に使用することの内容に心がけて下さい。
鳥肉に含まれる栄養素
鳥肉といえば高たんぱく低カロリーなイメージが濃厚で、ダイエット中でも安心して召し上がることが出来ます。しかし実際にはこのような通り一遍の評価に止まらず、健康増進の上でも重要な成分を各種含んでいることが研究の結果明らかにされつつあります。それでは鳥肉に含まれる栄養素の概要を御紹介しましょう。
鳥肉には三大栄養素のひとつである、良質なたんぱく質を豊富に含んでいます。たんぱく質はあらゆる細胞の材料になる栄養素で、髪や爪・皮膚に骨格や内臓などあらゆる機能の恒常性を維持するために必要不可欠です。とりわけ人間の体内では生成できない必須アミノ酸は食品を通じて、身体に取り入れる必要があります。鳥肉には必須アミノ酸がバランスよく配合されており、価格面でもリーズナブルなので日常生活のシーンで良質なたんぱく質を補給する食材としては非常に優れていると評価されている訳です。
鳥は牛や豚などに比較すると脂肪分は控えめですが、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がバランスよく配合されています。不飽和脂肪酸はコレステロールを減少させる機能をもっており、牛や豚に比較しても多く配合されています。コレステロールには生活習慣病の原因になる悪玉と健康維持に必要な善玉からなります。この点鳥に含まれるステアリン酸には、善玉コレステロールの生成を促す効果を持つことが研究により解明されています。さらに従来は、悪玉コレステロールを増やすと推定され人体への有害性が指摘されてきたパルミチン酸についても、研究が進み悪玉コレステロールを増やす作用は有しておらず善玉コレステロールの精製をうながす働きを持っているのではないかと推測されるようになっています。
また鳥肉にはビタミンAやビタミンB群なども、ある程度含まれて射ます。ビタミンAは粘膜の保護や細胞の合成などに関与する機能を持つ脂溶性ビタミンの一種です。人参やかぼちゃなどの緑黄色野菜に豊富に含まれていますが、嗜好性の高い鳥肉の脂肪分を摂取することでも体内に取り入れることが叶います。疲労回復に重要な役割をになっているビタミンB群には、糖分や脂肪分の代謝を促し、効率的名エネルギー消費を担保しています。食事を通じて摂取された三大栄養素の代謝を活性化するおかげで、全身の細胞のエネルギー不足を回避し全身疲労の緩和などに大きな意義を持っているわけです。
ところで最近の研究では鳥肉に含まれるアミノ酸結合対のひとつ、「イミダペプチド」には優れた疲労回復効果を持つことが明らかになってきました。過度な運動をしたときはもちろん、生命活動を継続しているかぎり、体内では代謝の過程で活性酸素が発生しています。活性酸素は適切なレベルであれば免疫機能を維持する役割をになっていますが、多くの方では過剰になっています。活性樽俎を排除するために、免疫細胞で排除されますがこの過程で全身の微細な血管の内壁がダメージをこうむります。全身の毛細血管をダメージが蓄積すれば、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病のリスクが高くなります。イミダペプチドには、活性酸素を排除する作用に優れており、疲労回復を促すと考えられているのです。食品中でイミダペプチドを摂取できるのは、鳥ムネ肉とささみだけとされており、ムネ肉50gのなかには、イミダペプチドが50mgと豊富に含まれています。
ただ鳥肉は脂肪の多い鳥皮から、たんぱくなムネ肉など部位によって、栄養配合や熱量に違いがあるのは留意するべきです。

鳥肉にはどんな部位がある?
身体の大きな牛肉では各部位によって、味わいや脂肪の付き具合に違いがあるので非常に多くの呼び名を持っています。サーロインや外もも肉のように同じ身体からとられたのかと不思議に思うほど場所によって顕著な違いが見られます。これに対して鳥肉はそれほどのサイズはありませんが、それぞれの部位によって呼び名がついており味わいなどに違いが見られます。鳥肉の代名詞的なモモ肉のほかにも、脂肪分がほとんどないムネ肉から手羽先から、焼き鳥屋さんのメニューでおなじみのセセリなどそれぞれ個性豊かです。それでは鳥肉の代表的な部位の特徴を御紹介しましょう。
ムネ肉は文字通り胸に相当する箇所から取れる食材で、脂肪分が少なく鳥特有の臭みもほとんどありません。脂肪分が少なくたんぱくな味わいが持ち味で、低カロリーなので体重や健康管理を意識している方でも安心して食事で召し上がることができます。炒めると卵風味のあまい香りが引きたつ食材で、あえて皮付きのままで加熱調理することでコクを感じる仕上りにすることも可能です。しかし最近ではヘルシー指向の影響で皮を取り除いて調理することも増えています。たんぱくな印象のわりに旨みを強く感じることができるのは、旨み成分のイノシン酸が豊富にふくまれているからです。最近では抗酸化作用が強いアンセリンやカルノシンが豊富に含んでいることが明らかになり、健康食品として注目を集めています。ただしバーベキューの場面では出来上がりがパサつくことが多いので、実は上級者向けの食材と認識されています。
手羽部分からは手羽先・手羽中・手羽物(手羽元)などが食用に供される部分になります。鳥の羽に相当する部分で、ニワトリは飛ぶのが特異ではありませんが、可動する部分なので筋肉や軟骨なども含む部位になります。先端の部分が手羽先、先端部分を取り除いた手羽中などに分けて販売されています。骨周りの肉には皮の濃厚な旨みと脂肪のコクをバランスよく、味わうことができる部位です。値段もリーズナブルで販売されているのでコストパフォーマンスが高い部位と評価できます。
手羽元は厚みがあるので加熱調理するには時間がかかりますが、じっくり時間をかけて直火で仕上げると香ばしさとジューシーさを味わうことができるので、バーベキューでも人気の部位のひとつです。
セセリ肉は鳥の首に相当する部位の肉になります。サイズが小さいので「子肉」などとも呼ばれています。頸部からせせり取ることが名前の由来になっていますが、見た目の小さい印象からは意外ですが脂が多く含まれており旨みもつよい部位です。
手羽先は非常にリーズナブルで、スーパーなどの店頭でもおなじみの食材のひとつ。たんぱくな味わいがメインの鳥肉のなかにあって、手羽先には脂肪のうまみや骨周りの濃厚な味わいを堪能することができるので、バーベキューでも人気の部位です。肉汁が炭火に触れとかぐわしい香りが立ち上り食欲をそそります。
鳥モモ肉は適度な歯ざわりと脂肪もバランスよくふまれているので旨みもあるので、日本では鳥肉の代名詞的存在に位置づけられています。多少加熱しすぎてもパサつきにくいので、バーベキュー初心者でも安心して使える食材のひとつです。遊離アミノ酸やタウリンを多く含んでいるので、疲労回復など健康面でもポテンシャルの大きい部位になります。調理法の汎用性が高いのでバーベキューでは絶対に外せない食材のひとつです。

鳥肉の部位ごとのおすすめ調理法
鳥肉は比較的部位が限られるので、それぞれの箇所の肉によって定番のメニューが存在しています。いずれも完成度が高いレシピが広く共有されているので、正攻法のレシピを確認してからバリエーションを楽しむことが基本です。鳥モモ肉といえば脂身が程よく含まれており、旨みも肉汁の豊富な部位になります。国民食ともいうべき、鳥のから揚げは調味液に加えるスパイスにアレンジを聞かせることでいくつものバリエーションを堪能することができます。宮崎県を代表する鳥南蛮は、から揚げを千切り野菜などと一緒に甘酢に付けこんで、仕上げにタルタルソースをかけてリッチな味わいを楽しめるレシピです。甘辛風味の調味液でモモ肉を煮込んで卵で仕上げる親子丼なども定番メニューのひとつ。汎用性が広いので調理方法を選びません。塩コショウのシンプルな味付けでソテーするだけでも美味しくいただけます。ソテーのときにしっとりした味わいと食感に仕上げたいなら、にじみ出たオイルをモモ肉にかけながらじっくりソテーすることです。バーベキューではヨーグルトを混ぜた調味液に漬け込んで、串を通して直火で焼き上げるタンドリーチキンなどにしても、野手あふれる味わいでアウトドアならではの楽しみ方を堪能することができるでしょう。
味わいが濃厚でコラーゲンが豊富なことから独特の食感を楽しめる手羽先は、軽く焦げ目をつけてしょうがやニンニクなどをたたきつぶしたものに、日本酒をかけてアルコールを飛ばしたものに、肉が浸るくらいのミスを投入して、砂糖とみりんと醤油で調味してじっくり煮込んだ手羽先の煮込みがおすすめです。香草の種類を変えることで、風味を簡単アレンジすることができます。アウトドアのバーベキューでは直火ならではの火力の強さと、炭火独自の遠赤外線効果で香ばしく焼き上げることができます。反面サイズがばらばらなので均一に火を通すのは難しく、アウトドアのバーベキューではすこそ取り扱いに注意が必要な食材です。バーベキュー初心者の方は、全体に均一に火を通すためにまず全体をアルミホイルで包み込んで蒸し焼きにし、遠火の弱火でじっくり仕上げるのがポイントです。あぶるような感覚で、炭火の火力の小さいゾーンで焼くことで焦げることなく、火の通りのムラの少ない仕上りになるはずです。
たんぱくで上品な味わいの鳥ムネ肉は、バーベキューの直火では表面に焦げ目がつきすぎて歯ごたえばかりがつよく、旨みやジューシーさが少ない仕上りになりがちです。そこで少し濃い目の味付けでうまみなどを追加するのがおすすめです。タバスコの酸味と辛味が際立つメキシカンチキンなどは、いかがでしょうか。鳥ムネ肉を一口きりにして、サラダ油をひいたフライパンでソテーします。ムネ肉全体の色が白く変化して、菜箸でさわってみてしっかり弾力を感じることができたら、中まで火が通った証拠です。調味はケチャップで全体の味をつけて、塩で全体の味付けを仕上げることになります。ムネ肉の中まで加熱を確認できた段階でケチャップを投入します。ケチャップの量ですが、全体にゆきわたる程度を入れてムネ肉全体に絡めながら、塩で調味して下さい。最後にタバスコを好みの量をたらしたら完成です。アウトドアのバーベキューのときにはムネ肉をフライパンでソテーするまでの工程をすませておき下ごしらえしておくことで、現地では味付けをするだけで仕上げることができます。
鳥肉と一緒に食べると美味しい食材
鳥肉は強い風味や濃厚な味わいなどは持っていませんが、淡白な味わいと適度な噛みごたえがあるので色々なメニューとの相性が良く組み合わせの妙が活きる食材です。鳥肉単体でも十分美味しくいただけますが、他の食材との組み合わせで新しい味の発見をすることも、バーベキューの醍醐味のひとつと言えます。そこで鳥肉と他の食材をあわせてメニューのレシピを幾つか御紹介しましょう。
鳥肉と好みの野菜の持ち味を活かせるのが、チキンのレモンめんつゆ付けになります。とりモモ肉は切り分けないで塩コショウで下味をつけて、サラダ油をひいたフライパンでソテーします。皮面から焼き付けて香ばしい焼き目をつけてから、ひっくり返して中火から弱火で仲間で火を通しておいて下さい。あわせる野菜はお好みのものでかまいませんが、加熱することができる野菜を用意するのがポイント。今回はモモ肉にアスパラガスとトマト・赤ピーマンをあわせるメニューです。アスパラガスはピーラーで根元付近を中心に皮をむいておき、赤ピーマンは食べやすいサイズに切り分けておき、トマトは湯むきして一口大に切り分けます。レモンはマリネ液のために2枚分スライスしたら、残りは果汁を絞り、ボールにストレートタイプのめんつゆを適量投入し、レモン汁とあわせて塩で全体の調味を行います。アスパラガスと赤ピーマンはさきほどのモモ肉をソテーした残りの脂でローストしておき、ローストしたモモ肉を食べやすいサイズに切り分けて野菜と一緒に調味液に漬け込みます。漬け込む時間は15分程度で十分です。モモ肉のジューシーさを、レモン風味の爽やかなめんつゆの味わいで堪能できる逸品になります。
次はコリコリした食感が特徴のとり軟骨で再現できる、高級珍味の「梅水晶」を御紹介します。
「梅水晶」というのはサメ軟骨に梅肉を合えた日本酒の肴として高い人気を誇るおつまみです。サメ軟骨はなかなか入手できませんが、食感が似ている鳥軟骨で同じ伝統的なテイストを再現するというわけです。とり軟骨は150-200gほど用意して、塩を少々加えた熱湯で5分ほどゆでておきます。茹で上がればザルにとって荒熱をとり、骨に付着している身を小さなスプーンでかきとります。スプーンだけではうまく取れないときには、指先を活用して取り分けるようにしてください。軟骨は包丁で千切りにして、とりわけ身も包丁で粗く叩いておきます。種を取り除いた梅肉は包丁で叩いてペースト状にしておき、青じそ2枚は千切りにして水に放っておいて下さい。ペーストになった梅肉20gに水を切ったシソの葉にごま油適量を加えて和え衣は完成です。あとは軟骨と身を和え衣に加えて、全体に味を馴染ませれば完成です。軟骨を包丁で切る時には、滑りやすいので手を切らないように十分注意することが必要です。軟骨は冷えると身離れが悪いので、茹で上がったら厚いうちに身をほぐすのがポイントになります。少し旨みが少なく物足りないのが心配な方は、和え衣のなかにコンブ茶を適量追加することで昆布の旨みがプラスされます。軟骨独特の歯ごたえとコクは、日本酒だけでなくビールや白ワインなどなどとマリアージュしても美味しく召し上がれます。
鳥肉の下ごしらえ
鳥肉には手羽先のように骨や軟骨が含まれる部位などでは、そのままでは調理しても食感が悪かったり味がうまく浸透しなかったりするので、若干の下ごしらえが必要な場合があります。また人によっては鳥肉の風味や香りに苦手意識を持っている人もいるので、臭み消しなどの下処理を加えてほうが、嗜好性が増す場合もあるようです。それでは鳥肉の下ごしらえの概要を御紹介してまいりましょう。
まずは利用することの多い、ムネ肉やモモ肉の下ごしらえから。モモ肉などはソテーする調理の機会が多くなりますが、そのまま焼くと実が反り返ってしまって全体に火を通すのが難しくなる場合があります。ちじんだりそれかえりが見られると、加熱の度合いがばらばらになるので、歯ごたえが悪くなったり旨みが抜けてしまって、パサパサの仕上がりに名手島ことがあります。皮面はフォークで何回かつついておいて下さい。フォークはあくまで皮部分を叩くだけですが、この下処理をしておくことで焼きちじみを防ぐことができ、調味料も浸透しやすくなります。皮には油分が豊富に含まれているので、ソテーすると香ばしい脂が出てくるので他の食材に旨みをプラスしてくれます。皮を包丁で叩くことによっても、同様の効果を得ることができます。ただしヘルシー指向の方にとっては余計な熱量の摂取につながるので、敬遠する向きもあるようです。皮をとるかどうかは好みの問題ですが、皮についている黄色い脂肪分は鳥くささの原因になるので、取り除いておいて下さい。
火の通りを均一にするために包丁でカットするときには、繊維に沿って切れ目をいれて観音開きの要領で肉全体を開いてから好みの大きさに切り分けます。調理方法によって包丁の入れ方は異なってきます。適度なサイズにして全体の食感を残したいときには、繊維にそってきっていきます。反対に他の素材とのかみ応えで違和感を感じないようにするには、繊維を断ち切ることで食感をコントロールできます。
低カロリーでサラダチキンの材料にされることの多い、ささみですがそのままボイルしたりフライパンでソテーしたりすると筋の影響で実が丸くなってしまうことがあります。一見するときれいな白身だけなので、下ごしらえは不要に見えますが丁寧な仕事が必要なのは他の部位と変わりません。
スジのついた面を上にすると太さが均一でなく、細いサイドと太いサイドに分かれているのが確認できるはずです。太いサイドのスジの左右に包丁で切れ目を入れておきます。スジを指でつまんで、そのままの状態でササミを裏返してください。先端を指でつまんだまま固定して、包丁でスジを抑えながら引っ張りすじを取り除きます。ササミには必ずすじがありますが、加熱時の身の変形の原因になり口当たりも良くないので必ず調理前に取り除きます。ポイントは包丁の刃でしっかり固定することです。固定しないとなかなかスジが抜けないばかりか、身が崩れてしまうからです。
手羽元や手羽先はそのままの状態では火の通りがよくないので、骨にそって切れ込みを入れておくことです。骨にそって切れ込みを入れることで、火のとおりが良くない骨部分にも効率的に加熱することができるので、過熱ムラを防止することにつながります。
鳥肉の保存・運搬方法
鳥肉のバーベキューを行うときには、現地に到着して調理開始するまでの間に劣化や腐敗が進行しないように保管運送方法を検討することが必要です。適切に保管しなければ、せっかく現地でバーベキューを始める段階になって食材として使えなくなっている可能性も想定されます。そこでアウトドアのバーベキューのときの鳥肉の保存や運搬方法を御紹介してまいりましょう。
そもそも鳥肉は牛や豚に比較すると水分を豊富に含んでいるので、いたみやすい性質をもっています。冷蔵庫では1-3日程度ですが冷凍を活用することで大幅に保存期間を伸ばすことができます。安売りで大量購入したときなどは冷凍保存を賢く活用することが重要になります。また冷凍保存を活用することで調理時間を短縮するメリットもあります。例えばあらかじめタレやシーズニング材などに浸しておけば、バーベキューなどの際に味付けのための下ごしらえの工程を大幅に省略することが叶います。フリーザーバックの中に封入して保存するので味付けに必要な調味料を節約できるのもメリットのひとつです。ただし冷凍保存を行うときには、注意点が幾つかあります。まず冷凍時の注意点として直接肉を手で触ることは控えて下さい。手には雑菌が付着しており、流水で流した程度では危険性を払拭できないからです。また空気にふれると酸化がすすむので劣化を防止するには、フリーザーバックを使用する場合には可能な限り空気を抜きます。真空にするのは困難ですが、できる限り酸化の原因となる空気を少なくすることで、保存性を高めることができます。
冷凍保管をするときには、その都度使い切る分量を手に取ることができることが重要です。大量に鳥肉を買って、まとめて冷蔵してしまうといざ調理のときに全体を解凍して必要量を切りわける作業が必要になります。使い切れない食材は、再度冷凍保管することになりますが一度解凍している以上細菌繁殖のリスクは否定できません。従っておおよその1回あたりの使用量を想定してフリーザーバックなどに小分けにして冷凍保管しておくのが安全です。冷凍する前にはキッチンペーパーで軽く水分を取るのが鉄則ですが、タレと一緒に漬け込むなら一度キッチンペーパーで水分をふき取ることでしっかり味が浸透します。なおササミ肉はタレに漬け込んで冷凍するのがおすすめです。ササミは水分が少ないので、そのまま冷凍すると調理してもパサ付いてしまうからです。
ところでバーベキューで現地に鳥肉を運搬するときには、食材の劣化にはくれぐれも注意を払う必要があります。そこでマストアイテムになるのがクーラーボックスになります。ただしクーラーボックスにはサイズが豊富にあるので、運搬する食材の量や目的地までの移動時間、調理までの時間も視野に入れてある程度の余裕をもってサイズを選ぶのが大事です。
クーラーボックス内にはまず一番底に保冷材を設置します。その上に鳥肉や魚介などの鮮度が必須の食材を乗せますが、衛生面を考慮して保冷材に鳥肉などが触れないようにラップや保管袋に入れておいて下さい。更にその上に保冷材をおいて野菜を配置することで冷気を長持ちさせることになります。
モモ肉を使ったから揚げに代表されるように、鳥肉はとてもなじみが深い食材でアウトドアのバーベキューでも人気の食材のひとつです。水分が多く保存期間は短いので新鮮なうちに食べることで、程よい紙応えと上品な風味を堪能できます。栄養学的にも良質なたんぱく質が豊富で、疲労回復に効果的なビタミンB群なども含む栄養価の高い食材です。鳥肉は部位によっても、ムネ肉のようにあっさりした味わいのものおから、骨周りの濃厚な味わいを堪能できる手羽先などそれぞれの持ち味は違いがあります。直火のバーベキューでは脂肪分が少ない部位ではパサ付くことがあるので、脂身もある程度含むモモ肉や手羽先などの部位がおすすめです。クーラーボックスを活用して衛生的に現地に運搬するように心がけてください。





